訓練に励む


 学校が休みにはいりましてね、
 ケンシロウは射撃についてきました。

 父ちゃんが2時間の練習をするあいだは、日本語学校の宿題をしています。

教科書のあいだにルガーピストルがはいっているのがアメリカ的ですね(^^)

 朝イチは、最も転びやすいペンジュラムとアウターとに挑戦するのを常としていますが、今朝はすごく寒かったにも関わらず ミスなしで通過できました。めずらしいことです。
じつはフレズノの試合で最初のランで1911がジャムりましてね (^_^; ミスも多くてサンザでしたので大いに反省しているのです。

なお、正月のマリポサ試合ではリムキャットで挑むことにしました。考えてみれば、これはなかなかトータルバランス良い銃で、修理されてからはロクに撃っていなかったのですよね。

ただ、今のところ使用が許されているハイキャップマグですが、来年もそのままなのかどうか調べる必要があるわけですけど・・・

でもまあ腹立たしい10連マグを買えば、STIで続行できるのですがね。

で、ここのところ効果をあげているのはこの初弾訓練なのです。

最初はペンジュの小さい方のターゲット、次はアウターのラクタン、5 GO、スピードオプション、スモホ・・とつづきます。

これらのターゲットを1発ずつ撃ってタイムを記録するのです。記録されると慎重に撃つのでタマを浪費しません。ミスると赤マークが付けられるのでタイムよりも精度を優先するようになる・・・とても良いことです(^^)

今日は3発ミスしました。
これがパーフェクトにできると自信がつきますし、なんといっても初弾の撃ち方が観えてくるので充実感があるのです。

ローカルマッチの良いところは、エントリー料金が安いことです。オープンクラスとリミテッドを撃っても35ドル。世界大会だと、たしか500ドルもしますからね(◎-◎;)
そこでフレズノではリミテッドも撃つのです。練習はほとんどしないのですが前回の試合では1番になれたので、そんならこっちも強化しようと考えています。

先にアイアンサイト、次にダットサイトと交互に撃ちすすむのですが、慣れると まったく違和感なく両方を撃てるものです。ダットサイトの位置を低くする必要なんてないのです。

このところ腕が ほどよく伸び、一体感のある射撃ができつつあります。
ケンシロウのフォトもだんだんに構図が出来てきています♪

「今日は、私の好きなXD-9を撃ちました。初めてなのでXDを落とさないかと心配していましたが、落とさないで撃てて、すごくうれしかったです」
 と、最初の日の日記に書いていましたが、もうかなり慣れてきました。
こどもの成長にくらべて自分は劣化の一途・・・
はやく自分の知識を伝授しなければイケナイとツラツラおもうこのごろですよ。

35件のコメント

  1. MIZ

    あっ、そうか!。
    イチローさんの姿のフォトはケンシロウ君が撮ってるわけか!。
    学校の教科書と実銃が一緒にテーブルの上に。
    射場のテーブル上で学校の宿題をヤッツケる。
    書いてて思いました。自分もやりたかったー!って。
    えっ?、宿題じゃないですヨ。
    しゃ・げ・き。

    初弾タイムの表、各コース安定しているようですけどmax−minが約0.2秒というコースもあるのですね。かといってmaxタイムが外れてる訳ではない。
    表にすると色々見えて楽しめます。

    今日のフォトは、マルイベースのカスタム。
    軽量スライドで動きはシャキシャキ!。

    • 市

      ただ拳銃を引っこ抜いて撃つだけですけど、タイマーへの反応、グリッピングの正確さ、腕の伸ばし具合、ダットをターゲットに乗せる速さ・・・などなどの動きが一致しないとカンタンに0.2秒くらい遅れるわけで、これはやってみるとホントおもしろいですよ(^^)
      MIZさんのSTIは、レイスガンのオーラを放っています。フォトを見ただけで、その鋭い撃ち味が感じられますよ♪

  2. 晴れ晴れショー

    ハイキャップマガジン来年も使えたらいいですね。ケンシ君いつも動画ありがとうm(__)m
    イチローさん、劣化だなんて。でも、ケンシ君ならイチローさんの教えは直ぐに
    吸収しそうですね。
    成長が楽しみですね(^_^)

    • 市

      晴れ晴れ君にもイチローの教えを聞いてもらいたいよ(^^)
      ワシが君だったら「薬への反抗」を試みるのだけどね・・・まずはクスリなしで眠れるという強いマインドをもちたいと考えるけど、この点についてはどうだい?

  3. 福袋@slave of duty

    シングルスタックマグをダブルカラムのガンで使うアダプターってあるのでしょうか?
    あったとして需要はあるのかな?

    遅くなりましたが改めまして、Newブログ、開店おめでとうございます。

    • 市

      ようこそ こちらへ (^-^)/
      STIでは、1911用のマグが使えるグリップを出していましたよ。でもどこで売っているのか知りませんので、どなたか見つけてくださいな(^-^)/

    • 市

      あのときのフォトをアップしなければ・・・と想いながらも、はや1年の月日が流れてしまったよ。でも、君との短い出逢いは昨日のことのように新鮮に想い出すことができる。
      いまも君は、お母さんとの交換条件を守りながらサバゲをやっているのかな?・・・

    • 薩摩の少年

      交換条件は守っていますが最近学校が忙しかったのでサバゲは2カ月に1,2回ぐらいしか行ってません

  4. ルシファ

    いやー、ケンシロ君すっかり少年ですねー。「よその子とゴーヤは育つのが早いね!」とは、はて誰の言葉だったか(笑)
    そういえば、たしか私の息子と同い年だったかと。愚息もハンディキャップがあるなりに成長しているようで、色々と変化のあった一年間でした。

    ・柿を好むようになった(私の独占だったのに…)
    ・カレーパンにハマり、各店の食べ比べを始めた
    ・お笑い好きがマニアックな方向に進んだ(「お前、このネタの笑いどころがわかるのか!?(驚愕)」)
    ・お笑い芸人の出身地から日本地図に興味をもつようになった(入り口は何でもいいや)
    ・高級回転寿司(ささやかな贅沢)で、「何でも好きなだけ食べなさい」と言えなくなってきた
    ・地元の養鰻業者の直営店で、「何でも好きなだけ(以下略)」と言えなくなってきた
    ・文字盤による意志疎通がかなり高度になってきた(「そう簡単にはわかってやらんぞ(笑)」が両親の方針)
    ・障害者アート展で県知事から表彰された(先生方、ありがとう!)
    ・福岡まで行って製作してもらった歩行器で、「直立した視点」と「両手がフリーの状態」の両方を手に入れた(今年一番高価な買い物。東京などは補助があるらしいですが、わが県は全額自己負担…いや、生きたお金の使い方です!)

    一方、親父の方は一向に成長する気配もなく。
    少しは整理でもするか…とガン庫(比較的よく使うハンドガン専用のロッカー)を開いてみたら、作りかけのカップガンとか、実験機とか、半端なコンセプトの狙撃拳銃とかがゴロゴロと。
    そんなに珍しいものは無いですが、ハイキャパのアキュコンプが6挺あったのには我ながら何とも言えず。
    エントリーA1やらWAまで入れると、我が家には何挺の2011があるのか?
    うーん、ロッカーに入りきらずにその辺に箱を積んである分を何とかせねばなりません。

    物欲に限りなし!と、全く反省せずに年の瀬を迎えるのでした。

    • 市

      ルーさんとこも順調に育っているようで嬉しいかぎりです。子供って細胞が倍々に増えるという魔法の中で育つのでトーテイかないませんよね(^◇^;)
      コレクションは70過ぎてから整理しましょうよ、それまでは「愛で尽くす」のです(^◇^)

    • ルシファ

      たまには画像も貼ってみます。
      レイスガンの要素も盛り込みたいんですが、6インチは長すぎですかね~?
      んでもタクレLには入るんですよん(試しただけ!)

    • 市

      銃が好き・・・ったって、その深度についてはイカホドノモノカ?・・・とタコは考えていたのですけどね、、ルーさんがこれほどのモノをお持ちだとは(^◇^;) いやはや怖れいりました m(__)m

  5. 晴れ晴れショー

    イチローさん、どうもです。薬への反抗ですか。今日は、ちょっと訳あって今の時間まで起きてましてこれから寝る所です。一気に減らすのは難しいので、ちょっとずつやっていこうと思います。
    いつも気にかけて頂いてありがとうございます。(о´∀`о)

  6. 晴れ晴れショー

    おはようございます。☀️🙋❗
    つい、10分位前に目が覚めました。
    眠剤を飲まずに寝たのですが、飲まずに寝るとまぁこんな感じですね。(^_^)
    もう少し寝るか、寝れなければそのまま
    日が出てからウォーキングに行こうと思います。👍
    まだ、起きたてでちょっと頭が回っておらず、気の効いた言葉も出て来ませんが
    今日もビーストで頑張って下さい。(^○^)
    ではまた。(@^^)/~~~

    • 市

      眠剤を拒絶しようと努力しているわけだね?・・・それは素晴らしい闘いだよ。エアガンが上手くなるより もっと大切な挑戦なんだと想うよ。次からは万歩計で測って日々の歩数を知らせてほしいよ。

  7. 愛斗山内

    市郎さんお疲れ様です。ケンシロウ君の成長早いですねq(^-^q)親は子を見て成長するっていうもんですから市郎さん自身もスキルアップしそう(^o^)/頑張ってください

    • 市

      部屋にピンポン台を置いて毎日すこしずつやっているんですけど、半年もたたずしてケンシロウには互角に迫られ、ここんとこ負けが多くなって
      (^_^; まあ、ワシは習ったことないですし下手なほうですけど、まさかこう早くヤラレルとは(^◇^;)嬉しい驚きなんですよ。そこでyoutubeを観て返しにくいサーヴとか台の端っこに叩き込むクフウをしているわけで、ワッシも成長を余儀なくされていますよ♪

  8. 喜多長

    オヤットサーです。
    薩摩の少年の画像です。
    後日弟さんにパッチを届けた時に撮ったものです。遅くなり申し訳ございません。

    • 市

      そうそう♪
      この少年たちだった。
      そして他にもハートの熱い子供たちがいて、みんな感じのよい子だったので日本の未来は明るいのではないかと想ったよ。

  9. @HENLLEY

    ケンシローくんのフォトでしたか。ケンくんはすっかり少年ですね。フォトもシューティンもイチローさんご伝授! それをしっかりモノにする意欲。イチローさんの訓練参加はとにかく楽しいので、しっかりモノにしていくのでしょう。
    いつも動画をありがとうございます。ケンシローくん製作の動画をいつも楽しみにしています。

    • 市

      ヘンリー君のメッセイジはケンシに伝えたよ。嬉しそうにテレていた。

  10. 晴れ晴れショー

    万歩計ですか。無料のやつをスマホに
    ダウンロードして やってみます。(^○^)

    • 市

      ワシも今はアイフォンの万歩計を使ってるよ。すごく便利だよ。はやく歩数を知らせてくれ(^^)/

  11. elan

    クリスマス過ぎちゃったんですけど・・・

    甚だ場違いな気もしますけど、三十年くらい前に書いた短編の使い回しですみません、でも今の自分にはこのくらいしかみなさんにプレゼントできるものがないものですから、僭越ですが・・・・

    =======

    あるイブの物語

     バーのカウンター越し、大きなウインドーの向こうに、まるで夜空の星を敷き詰めたように東京の夜景が広がっている。
     クリスマスイブの夜、街の明かりはどことなく華やいで見える。
     高層ビルの37階にあるバーのカウンターで、私はマンハッタンのグラスを前にぽつんと一人きり。後ろのテーブルにはそれぞれにキャンドルが灯り、その明かりをはさんだ恋人達がそれぞれに囁きあっている。
     それでも街の賑やかさにくらべれば、ここはまるで別世界のように静かで落ちついていた。バーテンダーがシェイカーを振る音と小声で交わされる会話、それにピアノの音だけ。演奏はジャージーなアレンジのクリスマスソングが多いけれど。
     腕時計に目をやると7時28分。三杯目までは後12分待たなきゃ、それが私のいつものペース。でも今日は気分が落ちつかない。
     いつもより少しペースが早いみたい。それに、何時までここで待っていようか・・・
     ピアノのメロディーがマイ・ファニー・バレンタインにかわった。
     これは約束だったかしら?
     二年前のイブの晩、私と彼は背後のカップル達と同じように、キャンドルを挟んで向かい合っていた。彼と付き合い始めてから三度目のクリスマス。彼はドライマティーニ、私はミモザのグラス。
     いつもより堅い言葉の後で、彼は不意に話を切りだした。
    「ニューヨークに転勤が決まったんだ」
    「・・・・いつ発つの?」
    「それが、少し忙しいんだ。2月には発たなきゃならない。」
    「ずいぶん急なのね。」
     もしかしたら、彼も今まで切り出せなかったのかも知れない。
    「・・・・・・・・」
    「どのくらい行ってるの?」
    「二年は帰れない」

     それが、商社マンである彼にとってどんな意味を持っているか、よくわかっているつもりだった。過不足無く仕事をこなして本社に戻ってくれば、昇進は間違いの無いところ。でも・・・・。
     私自身、広告代理店の営業としてやっと仕事を任せられるようになってきたばかり。今の仕事を放り出して彼とニューヨークに行くという事は考えられなかった。それを知っている彼はついて来いとは言わなかった。
    「そんなに永いあいだじゃない。しばらく待ってくれれば、ひとまわり大きくなっているよ、お互いに」
    「そうね」
     二十六歳の、キャリアを追いかけている女の精一杯の強がり。多分彼はそれを見抜いていただろう。そういう付き合いをしてきたのだから。だからといってそれ以上彼に何が言えただろう。その時の彼には選択の余地なんて無かった。私と同じように。
    「戻ってきたらまたこうやって飲もう。またここでさ」
     約束と呼ぶにはあまりに頼りない言葉を残して、彼はマンハッタンへと旅立って行った。
    「お客様。何かおつくりしましょうか?」
     不意にバーテンダーに声を掛けられて、目の前のグラスが空になっていることに気がついた。
    「それじゃ、ドライマティーニを」
    「かしこまりました」
    「あのう、すみません」
    「はい?」
    「シェイクで作っていただけます?」
    「はい、かしこまりました」
     あまり表情を変えないバーテンダーが、にっこりと微笑んでミキシンググラスをシェイカーに持ちかえた。ピアノはホワイトクリスマスのメロディー。時計を見ると7時47分。
     バーテンダーは軽い手さばきでシェイカーを振り、私の前にグラスを置いて中身をそっと注いだ。グラスに口を付けると氷片の浮いた液体の冷たさを感じ、次いで喉を降りていくアルコールの熱さを感じた。2年前はこんな強いお酒は飲めなかったのに。あの頃はミモザとかシンガポールスリングとか、ロングドリンクばかり飲んでいたっけ・・・。彼はマティーニを注文するとき、いつもシェイクする事を望んだ。「ジェームスボンドの受け売りだけどさ、いくらか口当たりが優しくなるんだよ」そういって飲んでいたっけ。
     彼が去ってから、仕事は加速度的に忙しくなった。でも、それは仕事の量が増えたからではなく、必要以上に自分を駆り立てたからで、彼に対する思いの行き場を仕事に振り向けようとしたから。部屋に帰る時間は次第に遅くなり、彼の声を聞くのは殆どが留守番電話の録音ばかり。一人の時間はお酒と過ごすことが多くなった。
     お酒がまわって淋しくなると、決まって彼を想った。気持ちが挫けそうになり、衝動的に彼の元へ飛んでいきたくなる。でも、一方的に名残を残して行ってしまった彼が憎らしかったし、仕事の為に残ったのだという意地もあって、かろうじて気持ちを抑えていた。
     仕事に打ち込んだ成果はしばらくして仕事の質の変化として現れた。より大きなクライアントとより大きな企画。実質的に仕事を任されるようになった。でも仕事の中にいる私と、一人でいるときの私は、次第に分離していった。結局、残りたかった自分と彼について行きたかった自分とを選んだ訳ではなかったから、その両方を抱えたままの私は、私自身を二つに引き裂いてしまった。
     わずか二年。でもそんな気持ちでいる二年は短くはなかった。翌年のクリスマスが過ぎた頃、体調を崩した。病名は十二指腸潰瘍。
     私は彼について考えることをやめようと努力した。少しづつ彼から遠ざかり、彼の存在が私の中で希薄になっていく、それはとても淋しいことだった。そして体調は回復し心に穴が空いた。
     バッグから手紙を取り出してみた。二週間前に届いた彼からのエアメール。滅多に手紙なんか書かない人なのに・・・

     元気で過ごしているだろうか?
     ニューヨークはとても寒いけれど、なんとかやっている。
     年が明けたら本社に帰ることが決まった。
     こっちは年末、クリスマス休暇になる。
     イブに間に合うかどうか約束は出来ないけれど、
     仕事をやりくりして何とか一度帰ろうと思う。
     もし都合が付けば、一昨年の店、覚えているかな?
     いや、その前に君の予定が空いているかどうか。
     空いているようなら、あそこで会おう。
     まだ飛行機の時間がはっきりしないんだ。
     だから成田から直接あの店に行くよ。
     君に会うのを楽しみにしている。
     P.S.どうしても行かれないようなら、連絡するから。

     この手紙に、彼は私がまだ一人でいるのだろうか?という現在の私の状況について、暗に気を使っているように思えた。だから、ここに私が来ているかどうかが、彼にとって二年間離ればなれだった私たちの今の状況を決定づけると考えているのかも知れない。だからこの手紙以上の連絡をよこさなかったのだろうか?
     そして私はここで待っている。彼に対する想いはこの二年という時間の試練に耐えて、今も私の中にあるのだろうか? それ以上に彼の中に残っているだろうか? 今はそれがとても恐い。こうして彼は手紙をよこし、私は今も彼に心を乱している。それなのに、何故こんなにも不安なんだろう。今では仕事上の評価も有り、男に頼らなくても生きていける。仕事に対する姿勢が極端だったために、周りの男は必要以上に私に関わろうとしなかった。酒の強い二十八歳のキャリアウーマン。それが淋しくないと言えば嘘になるけれど・・・・
     時計を見ると8時をまわっている。私は少し苛立って煙草に火をつけた。煙草を吸うようになったのも、ここ一年程のこと。
     グラスに残ったわずかなマティーニを飲み干し、煙草を灰皿に押しつけた。この緊張にだんだん耐えられなくなってきた。もしも来なかったら、このままいつまでも待ってそのまま明日になったら・・・・
     ピアノからアズ・タイム・ゴーズ・バイのメロディーが流れてきた。
     彼は自分をレイモンド・チャンドラーかぶれだと言っていた、そんな彼が好きだった曲。
     ふとピアノの方に目をやると、彼がそこにいた。長身で広い肩幅、あの頃とかわらぬ笑顔が私の方へゆっくりと近づいてくる。
    「待たせたね。成田からここまで、ずいぶん遠く感じたよ。」
    「元気そうね。もう帰ろうかと思っていたのよ。」
     哀しいくらい精一杯の強がりだった。そうでもしないことには、今にも泣きだしそうだったから。
    「もう少しゆっくり出来るんだろう? それともこの後約束でも?」
    「いいえ、あなたを待っていたのよ。」
    「間にあってよかった。少し驚かせたくてね。」
     マティーニのグラスが下げられて、代わりにフルートグラスが二脚と、クリュグのシャンパンが入ったワインクーラーがカウンターに置かれた。
    「あなたいつからここに来てたの?」
     私は注文していないシャンパンが出されたことに少し驚いて聞いた。
    「十分くらい前に来て、君を見ていた」
    「この曲あなたのリクエストね?」
    「ばれたか」
     少しやることに気障なところがある。というよりロマンティックな人だった。その為にぎりぎりまで連絡をよこさなかったんだ。もしかしたら私が来ることを確信していたのかも知れない。少し悔しいけれど、そんな彼の事を私が知っているから・・・
     バーテンダーがシャンパンの栓を抜いた。ぽんという軽快な音が弾けて、気持ちが静かにほどけていく。私はシャンパンが目の前のグラスに注がれるのを静かに見守っていた。そんな私の横顔を彼が見つめている。
     グラスを取った彼が私の瞳を見つめた。
    「ねえ、あれはやめてよね。君の瞳に・・・ってやつ」
     彼は微笑んでうなずいた後、乾杯と言って私たちは静かにグラスを重ねた。彼はグラスの中身をゆっくりと飲み干して言った。
    「永かったな、意外と永かった」
    「そうね・・・」
    「少し痩せた?」
    「ええ・・・すこしね」
    「マティーニ飲むようになったんだね。」
    「お酒が友達だったから・・・」
     彼は少し寂しそうに笑って二つのグラスにシャンパンを注いだ。
    「本当のことを言うと、ここに来て君の姿を見るまではとても不安だったんだ」
    「それなら、私だって同じよ」
    「あの時、君に待ってくれって頼んだわけじゃなかったし、君も待つと約束してくれたわけじゃなかったから」
    「でも、こうしてまた逢えたじゃない」
    「そうだね」
     私たちは、お互いに口元をほころばせて、しばらく無言で見るともなしに街の明かりの海を見ていた。
    「年明けすぐに、また一度向こうに戻るけど・・・・」
    「手紙読んだわ。」
    「また君と・・・」
    「だからここにいるのよ。」少し冷たく言った。まるで腹を立てているみたいに。とても寂しかったとは言えない代わりに・・・
     彼も同じように寂しかったに違いない。そんな彼を思って少し自己嫌悪してうつむいた。右手の薬指のマニキュアが少し剥がれているのが気になった。この二年を大過なく一人で過ごしてきた私、そういう凛とした私でいたかったのに、化粧の事や着ている服の事なんかが気になる。
    「そうだ、クリスマスプレゼント」彼は少し明るい声で言って、内ポケットから小さな包みを取り出し、カウンターの上に置いた。
    「開けていい? 私も買ってあるけど後でね」
     彼は言葉のかわりに微笑んだ。
     包みを開けると、それは小さな宝石箱に入った大きなダイアの指輪だった。
    「サイズが合うかどうかわからないけれど・・・・」
     そう言って彼は、私の左手を取り、指輪をつまみ上げて私の薬指にはめた。サイズは丁度良かった。
    「どうも・・・・・ありがとう」
     困惑している私の瞳をのぞき込んで彼が言った。
    「来年さ、一緒にならないか?」
    「え?」
    「結婚だよ」
     押さえつけていたすべての感情が私を押し流してゆく。
     ダイアの輝きも街の明かりも彼の顔も、あふれだした涙に滲んでもう見えない。

    • 市

      ろまんてぃっくぅ〜(^O^)/
      by その後、現実社会に翻弄されながらも果敢に生き抜くという二人のストーリーを読みたいワタシ(^^)

    • elan

      その後のバブル崩壊、商社も広告代理店も力を失っていきます。そしてリーマンショックに東日本大震災。
      ですがこんな二人は現実にはなかなかいませんからねー
      恋愛といいながらの闘争がほとんどという現実は書きたくありませんねー
      まぁ書けるんですけどね。
      お話の中くらいロマンチックでもいいじゃないですか。
      (╹◡╹)

    • dnag(ドナグ)

      素敵すぎる!!

      会話がかっこいい&おしゃれ&優しい気持ちになれる。

      市郎さんのおっしゃるようにロマンティックですね~。

      byこんな素敵なストーリーを、自分もつむげるようになりたいワタシ

    • elan

      お褒めに預かり嬉しく思います。
      これを書いた頃の日本はまだ余裕がありましたから、こんなシーンも現実にあったのでしょうが、今ではかなり厳しい世界になってますね。
      どうりで殺伐としてトゲトゲした世の中で、少子化も当然な感じです。
      そんな中でこそ光る物語もあるのかもしれませんね。
      いずれドナグさんも書いてくださいな。

    • MIZ

      elanさん、なんとも素敵な物語ですね。
      もしかして少々経験も入ってる?。
      こんな素敵な文章を読むと自分には絶対ムリって思います。

      あ〜あ、やっぱり自分の文章って、報告書でありマニュアルであり規格書なんですよね。華が無いんだ。
      まっ、これは仕方ない。
      だってマニュアル読むの好きだし。
      (オマエやっぱチョット変とか思ったでしょ?。自覚してます。)
      根っからの理系で技術屋さんだとこんなもんですよね?。

      しかし、アートをもうちょい考えんといかん!。

    • elan

      当時はまだ景気も良くて、こういう事を想像するのも容易だったし、むしろシチュエーションは当たり前だったような気がします。
      しかしこれ書いたの20代ですよ。
      ませてるなぁ…

      マニュアルとか技術解説はなかなか書けませんから、そちらの方がすごいと思いますけどねぇ。
      人には得手不得手があるからこそ世の中は面白いわけで。
      私はむしろ技術者に憧れてしまいます。

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